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防災だよりDisaster prevention Information

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2022年01月号
 2021年12月17日に大阪市「堂島北ビル」4階で発生した放火事件。この放火火災でクローズアップされた『二方向避難』について考えます。
 「二方向避難」とは、万が一の事態に備えて階段やベランダ・バルコニーなど別々の方向に避難経路が2ヶ所設けられている構造のことで、避難経路が1ヶ所の場合、災害などで避難する際に複数世帯が暮らす共同住宅では1つの避難経路に人が殺到する恐れがあり、片方の避難経路が塞がれてしまった場合にもう一方の避難経路から脱出できるようマンションやアパートなどの共同住宅では、別々の方向に避難経路を2つ設けるよう義務付けられています。通常の入り口とは別に非常口が設けられている場合や、対照的な場所に階段が設けられている場合などが「二方向避難」にあたります。災害時に備えて、どこに避難経路があるのか確認しておくことが命を守る上で重要です。
 「二方向避難」は、建築基準法施行令第121条第3項で定められ、ただし書きには「避難階又は地上に通ずる二以上の直通階段を設ける場合において、居室の各部分から各直通階段に至る通常の歩行経路に共通の重複区間があるときは、その重複区間の長さは、歩行距離の限度の1/2をこえてはならない」「ただし、居室の各部分から重複している歩行距離を経由しないで、避難上有効なベランダ等で避難することができる場合は、この限りではない」とも追記があります。
 しかしながら、この法律は判りやすいようですが、実際に自分の住む場所に当てはめてみると、多くの人は二方向避難をシミュレーションし想定訓練をしている人は少ないようです。これは建物を造る上でクリアされるべき法律であり、実際に使用する人が理解し避難訓練を促す法律ではないことが判ります。言い換えれば「安全な建物の基準」であって、安全安心に暮らせるかどうかは別ものです。その証拠に消防訓練に避難訓練はあっても二方向避難訓練はありません。加古川グリーンシティの防災訓練では二方向避難の解説をしていますが、棟によって避難方法が異なるので自分の建物はどう避難すべきかを自分で学んでおかなければ、避難を必要としたときに避難できないということが起こりかねないのです。火災は台所で発生するとは決まっていません。また、避難を必要とするのは火災だけでもなく天災時だけに適応されるものでもありません。『防犯』でも避難ルートの確保もまた重要なことなのです。今回の放火火災では、防災と防犯の両面が必要だと考えられます。
 「二方向避難」は普段の生活の中に普通に存在しています。スーパーマーケットでは大きな出入口が2ヶ所あるお店も多く、考えてみると駅や空港などの交通拠点、娯楽施設、テーマパーク、学校、会社など色々な所に二方向避難が法的にも自主的にも設定されています。にもかかわらず、二方向避難の学びや訓練が法的に義務化されていないのが不思議なことです。
 学びましょう!自分を取り巻く環境で避難路の確保。あなたとあなたの大切な人の命を守り抜く為の想定訓練をやりましょう。あなたの住居で火災が発生したならばどうすれば良いのか?第一番は「初期消火」です。消火器の位置はどこか?水をかけても良いものか?(油火災の場合は水をかけるとかえって火が広がる場合がある)天井に火が燃え移れば、素人では消火は不可能です。なので「即避難!」。もし玄関側で火災が発生したり、隣の家の火災で共用廊下に炎が吹き出し共用廊下が使えない。ならば!ベランダ側に避難となります。ベランダにある隣の住戸との仕切り板(パーティション)を蹴破り、火災発生の家と反対側の住戸側に避難するか、または避難ハシゴを使い階下の家に避難が良いと考えられます。ここで大切なことは、普段からお隣や階下階上の住戸の方と知り合いになっておくことは重要なことです。一度災害が発生すれば、助け合う気持ちは湧き出しますが「助け合おう!」と考える思考の速度に違いが出ます。知り合いならば「どうしたの?」と、即その家の中を通り抜けて避難となりますが、知らない人がベランダに現れた場合、あなたならどうしますか?何も考えずに「鍵」を開けることができるのでしょうか?多くの人は躊躇するに違いありません。そうなると「命に危険が迫っていたとしたならば!」更にその隣、更にその階下へと避難するしか方法がないのです。
 皆さん、お気づきになりましたか?防災を語る上で『防災にはコミュニティが必要だ』といわれます。それがまさしくこのことで、命を短時間で守り抜けるかはコミュニティにかかっており、如何にコミュニティに日頃から参画しているかに関係しています。自分の命は自分で守れといわれますが、自分ひとりでは自分の命を守り抜くことは限りなく難しいのです。その為にも「楽しくコミュニティ・楽しく防災」を共に学びましょう。きっとあなたの見えている世界が変わります。今年も一緒に楽しく防災活動をやりましょう!