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2022年06月号 |
今回は『南海トラフ地震臨時情報・巨大地震注意または巨大地震警戒』の発表と発生するリスクを想定し「心の訓練・構える準備」をしましょう。でも南海トラフ地震は、突然!何の前触れもなく臨時情報も発表されることなく、いきなり発生する可能性もあります。事前に必ず臨時情報が発表されるものではないと理解しておくことも必要です。今回の想定訓練は、監視領域内(和歌山県沖)でM7.0以上の大地震がすでに発生(加古川では震度4~5強の揺れ)したことで「南海トラフ地震臨時情報・巨大地震注意や巨大地震警戒」が発表されたと想定し考えていきます。(言い換えれば、もっと大きな地震が続いて襲って来ます!)
すでに揺れたM7.0の地震により、上水道の断水、都市ガスの供給停止、停電が発生。それにより、エレベーター停止、パソコンが使えない等、ライフラインに影響が発生。スマホは通信速度が遅いものの確認はできる状態、固定電話は話し中になっている。このような状況下で、更に「南海トラフ地震臨時情報・巨大地震注意や巨大地震警戒」が発表された。過去に経験の無い公的機関からの地震予測発表に、あなたはどう向き合うのでしょうか? 正しい想定を導くために、内閣府発表の被害想定に基づき、南海トラフ巨大地震発生時に想定される人的被害や建物被害などを確認していきます。 すでに揺れたM7.0の地震により、多くの人は『防災モードのスイッチ』が入っていることでしょう。しかしながら、どう構えれば良いのか?自分のとるべき行動は何なのかをこの想定訓練で体験します。 まずは、自分のとるべき防災行動の主幹・目的は『自分の命を守ること』であり、これ以外の選択はありません。自分の命を守り抜けてこそ、自分の大切な人の命を守ることができます。間違っても「正義の味方気どりでの考え方や他人まかせの行動はやめましょう」。あなたが助かるための選択肢を手に入れるために最悪の事態を導き出し、近い未来のリスクにあなたがどう向き合うのかを考えましょう。 ①建物倒壊の恐れ 老朽化や耐震性の低い木造建物が倒壊する。ビルやマンションの中間階の圧潰や建物が倒壊する。 ②屋内転倒物の恐れ 家具や什器が転倒する。本棚や食器棚等から内容物が飛散する。窓ガラス等が割れて飛散する。熱湯の入ったやかんやストーブ等が転倒する。ディスプレイや展示物が転倒する。 ③屋外転倒物の恐れ 街路樹や電柱、自動販売機等が倒れる。沿道の建物の倒壊に巻き込まれる。ブロック塀やレンガ塀、石塀が倒れる。 ④屋内落下物の恐れ 体育館や集会場等で吊り天井が落下する。額縁等の掲示物が落下する。照明が落下する。割れて飛散したガラス片等を踏み負傷する。商店等で、天井から吊り下げられていた飾りが落下する。 ⑤屋外落下物の恐れ 路上で外壁やコンクリート片が直撃する。屋根瓦が落下する。ビルのショーウインドウや窓ガラスが落下する。斜面周辺で落石が発生する。 ⑥転倒・転落の恐れ 自宅や職場、路上等で転倒する。階段や駅のホーム等から転落する。建築現場等の高所足場から転落する。路上や階段、駅、大規模集客施設等で集団転倒する。 ⑦長周期地震動の恐れ 長周期地震動により高層建物の高層階で揺れが大きくなり家具や什器の下敷き・転倒・階段から落下する。 ⑧道路・自動車被害の恐れ 走行中、強い揺れにハンドルを取られ事故を起こす。路肩の崩壊や橋梁・高架橋の倒壊等で車両が転覆落下する。高架橋から橋げた等が落下し高架橋下の道を走っている車が直撃衝突する。道路上やトンネル天井に設置された案内板や空調設備等が落下し直撃衝突する。橋梁部ズレ等の道路上に発生する段差等に衝突する。 ⑨鉄道被害の恐れ 走行中に揺れにより列車が脱線し、建物や対向車、斜面等に衝突又は列車が転覆する。路肩の崩壊や橋梁・高架橋の倒壊等により列車が転覆落下する。 以上、今回リストアップしたリスクは、地震が発生した瞬間の『地震動』による被害想定です。ケガだけではなく、命に関わることが発生します。また、これら以外にも生活環境によりリスクも違ってきます。南海トラフ巨大地震が発生するまでに、ちょっとだけ頭の中で想定訓練をしておくことで、パニックになるリスクは軽減されます。もしも可能なら、あなたの平日の行動と休日の行動という2パターンで「地震発生の瞬間」をシミュレーションすれば、足りない備えが見つかり、あなたが必要なもの、連絡を取りたい人、優先順位の決定などを『決めておくこと』で、その瞬間に慌てず命を守り抜く行動をとることができるようになることでしょう。さて、次回は地震の揺れが引き起こした更なる被害想定(その2)です。・・・つづく |