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2022年07月号 |
今回は「南海トラフ地震臨時情報」の発表と平行して発生する地震の揺れが引き起こした更なる被害想定(その2)です。 『煽るな!』と仰る方もいらっしゃるようですが、災害発生時にパニックを起こさない方法のひとつに「災害にあっておく。経験しておく」ということがあります。でも、実際に災害にあってからでは、命の危険と引換で経験値をアップすることになってしまうので、日常の中で落ち着いた状態で『災害のことを考えておく』こと。これが大切な防災・備えへの近道なのです。 さて、強い揺れが襲い、揺れが引き起こした事象から命を守り抜けたとしても、これでもかと、あなたの大切な命を狙ってくるのが、巨大災害の恐ろしいところです。地震の揺れが引き起こすのは?東日本大震災で目の当たりにした「津波」「火災」「地盤被害」「停電」「システム障害」「断水」「病気、ストレス」「治安悪化」「危険物」等々。 【津波が引き起こすもの】 逃げ遅れて津波にのまれる。避難中に津波に足をすくわれて転倒。自動車の運転中や列車乗車中に津波に巻き込まれる。船が転覆する。地下鉄や地下街に浸水。海水浴客が避難しきれずにのみ込まれる。津波が引き起こす火災に巻き込まれる。石油コンビナートに流れ着く漂流物火災で施設に引火爆発。 【火災が引き起こすもの】 初期消火ができず火災が延焼する。同時多発火災で避難路が確保できない。マンションや高層ビル、地下鉄、地下街で煙にまかれて避難ができない。 【地盤被害が引き起こすもの】 土砂崩れ。斜面の崩壊。建物の倒壊。盛り土の崩壊。ため池の堤防決壊。液状化によるマンホールの浮き上がりや段差の発生により道路通行不可や事故。線路への土砂流入や斜面崩壊。地盤や線路の変形で列車脱線。 【停電が引き起こすもの】 エレベータの閉じ込め。夜間の停電時はつまづきや階段の踏み外し。生命維持装置などの医療機器の停止。スマホ等の充電不可。 【システム障害が引き起こすもの】 航空機の管制システム障害。交差点の信号管理システム障害。電車や地下鉄の運行管理システム障害。 【断水が引き起こすもの】 医療用の水不足、脱水症状や熱中症が発生、水分を十分に摂取できない避難者が静脈血栓塞栓症(エコノミークラス症候群)を発症。衛生管理ができなくなる。トイレの水が流れない。調理に支障。 【病気やストレスが引き起こすもの】 パニックで慌てて、車道への飛び出しで交通事故。避難のため出口に殺到する。高齢者が揺れに驚きショックで体調悪化。 【治安の悪化が引き起こすもの】 暴動、窃盗、放火、暴行など、災害発生中でも関係なく引き起こす暴挙。 【危険物が引き起こすもの】 危険物施設からの有毒ガス・有毒物質の流出。引火性ガスによる爆発火災。 これら以外にも、地域特性による被害状況の違いが懸念され、本やメディアから知らされていた想定による被害を遙かに上回る『命に関わる被害』の発生が懸念されます。あなたの周りで発生する被害予測をしておきましょう。 さて、南海トラフ地震による被害想定は、南海トラフ巨大地震が起きると、最悪の場合、死者は32万3000人、経済被害は220兆3000億円を超えると想定されています。一方で、対策を進めれば被害を大幅に減らせる可能性があるともいわれています。このような大きな数字を見せられると人間は「自分のこと」とはとらえられなくなる性質があります。防災対策を何もやらなければ「死者は32万3000人」この中に、あなた自身が含まれることになるのです。 災害ごときに、あなたやあなたの大切な人の命を奪われないように、日頃の平時の中で「備える・構える」訓練や活動をやっておくことが重要です。その為にもあなた自身が何をすべきか、何をしておくべきかを『決めておく。決める』ということが大切です。 あなたの命を守る「南海トラフ地震臨時情報」の学びや、地震の発生を知る「緊急地震速報」のアプリをインストールしておくのは当然のこととして、余裕を持てる『構えの形』を創っておきましょう。 近い将来、100%発生する南海トラフ巨大地震。少し興味を持ちませんか?きっと、その興味力が、あなたとあなたの大切な人を守り抜くチカラになります。 特集してきた「南海トラフ地震臨時情報」は、気象庁が責任を持って発表しメディアやネットによって直ちに伝達されます。それを入手するかしないかはあなた次第です。しかし、南海トラフ地震臨時情報が発表されても地震は発生しないかも知れません。その時には、良い訓練をしたと胸をなで下ろせる『構える心づくり』をしておきましょう。 発生しない確率があるということは裏返すと発生する確率も充分あるのです! |