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2023年9月号 |
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今回も新海誠監督『天気の子』から防災の学びを探します。 作中に度々現れる「積乱雲(入道雲)」。 積乱雲の特徴は、雷を伴い、雲の上部がなめらかな繊維状の見た目になっています。 雲が発達できる限界の高さ(10キロメートルを超え、時には成層圏まで達することもある)まで成長した積乱雲は、それ以上は上昇できなくなり、雲の上部が平らになります。 これは鍛冶で用いられる鉄床に似ていることから「かなとこ雲」と呼ばれます。 積乱雲の中には『最大で25mプール1万杯に相当する600万トンの水がある』という研究もあり、積乱雲は大雨や落雷、竜巻などの突風、降雹をもたらして災害の原因になることがあります。 (NHK視点・論点「積乱雲を知って防災を」参考) ロマンチックに考えてみると、空の上の雲の中には、見たこともない魚が泳いでいたりしてもおかしくない。 ニュースで「空からオタマジャクシが降ってくる」というのも、まんざら鳥の所為だけではないのかも知れませんね。 空の上は雲を掴む話が多いようです。 手に取って研究するのが難しいこともあるでしょうし、飛行機や気球などで観測しなければならない為に、手に取って実際に顕微鏡で・・・とはなりにくいようです。 でも「天気の子」や「天空の城ラピュタ」(宮崎駿監督)でも雲の上を描かれていますが、実際に飛行機で雲の上に上がった瞬間の感動は凄い。 「雲海」という言葉がピッタリ!どこまでも続く雲に見入ってしまうのではありませんか? 特に子供の頃にあった強い興味力という『好奇心』は色々なものを見つけ出します。 偶然の瞬間かも知れませんが、自然のなせる技を目にすることが子どもの頃の方が多いようです。 皆さんもそんな経験はありませんか? 「何故あの時あのようなことが起こったのか?」 お天気というものは色んなものを我々に見せてくれるのです。 空は何処までも隠すことなく、高く高く見せてくれます。 何光年も先の宇宙の果てまで見せてくれます。 しかしながら「海」はフイリピン沖のマリアナ海溝にあるチャレンジャー海淵が世界で最も深く約10,920m、日常的に飛行機が飛ぶ高度とほぼ同じなのに、飛ぶ飛行機は見ることができても、海底は見ることができません。 海も雄大ですが空の威風堂々感には感服します。 そんな空の上の『天の気分』。 天気ってなんて不思議なのだろうと考えます。 ただの空模様に、ほとんどの人間は気持ちを動かされます。 『お天気』という空模様で、嬉しくも悲しくもなります。 晴れだから嬉しい訳ではなく、雨でも嬉しい「恵みの雨」。 人間は本当に身勝手なのかも知れませんが、自分の都合に天気が合えば誰もが「嬉しい」と思うようです。 そうなんです!「天の気分」に我々は心を動かされることで心が少しずつ強くなります。 きっと、それぞれの人の経験値の加算になるのです。 晴でも雨でも色々ある。 お天気にも都合と個性があるのです。 人も同じ、それぞれが向き合うことで、わかり合える心が芽生えます。 それが、きっと「お互い様の心」なのでしょう。 過去の教訓から、晴ばかりでも、雨ばかりでもという片寄った天気は、その後に急転直下の変化や「反動」が大きくなります。 「時代の転換点」といえる大きな変化が現れます。 そのひとつに東京は海(入江)だったのです。 でも、人のチカラとお天気で現在の姿に変わってきました。 そのことは作品の中でも「江戸そのものが、海の入り江だったそうだ。 地名が表しているだろう?入り江への戸口が東京だった。 その土地を人間と天気がすこしずつ変えてきた」と語っています。 しかし永い地球の育みの中で培われたモノは、時に元に戻ろうとする傾向も見受けられます。 その証拠に、水は元々流れていたところを流れようとします「昔、川があった場所」。 特に荒ぶる水(水害)はそうなる傾向があります。 何れにしても人間の都合で変化させた結果なのです。 人間は身勝手に自分の住みやすさという浅知恵を思い付きます。 永い先を見据えていないことを平気で語り、行い、自然の心へ土足で踏み込みます。 共に生きるマナー違反なのです。 今更「ごめんなさい」と語ってももう遅いのかも知れませんが、でも今の瞬間からでも『変わることは遅くない』。 一人ひとりが「自分のできることを考え行動に移す」。 その一歩が永い歴史の先を変えていくはずです。 作中では、雨が続き東京が水に沈み日本列島の形が昔の形に戻ります。 でも昔の形が正しいのか?現在の形が正しいのか?誰かが判断できるものでもありません。 私たちの住むこの加古川だって、過去の海岸線はもっと内陸部だったのです。 それを裏付けるように蛸壷が沢山発掘されるところがあります。 今だけを見て、正しいとか間違っているという判断することこそが、間違っているのかもしれませんね。 その時代に合わせて人は生きています。 でも長い年月の中で人は自然に良くも悪くも影響を及ぼしてしまった。 これは事実なのです。 『天気の子』は「考えること」を教えてくれる作品です。 是非とも、ご覧になってみてください。 |