今までのPDFデータへは、こちらから |
---|
2023年12月号 |
2023年12月号の音声読み上げができます。 |
今回も『すずめの戸締まり』から防災の学びを一緒に探しましょう。 災害イン(災害を起こす原因の地震や台風等)を止めることはできません。 でも災害に発展することを抑えることはできます。 災害とは我々の社会や暮らしに 災害インが影響を及ぼすことで災害となります。 ならば影響を減らせば災害にはならないと考えられます。 ではどうすれば良いでしょうか?答えは『備えること』。 備えることで 災害インそのものが災害へと発展せずにやり過ごせます。 それが『防災・減災』。 でも 災害インを特定せずに闇雲に備えても意味がありません。 自分の環境にどの 災害インが近寄れば、どのような災害が発生するのかをシミュレーションすることが大切です。 その際、自分は生き残れるのかをしっかりと考えながら、その逆のこうしてしまったら命が危なくなるということも考えましょう。 命の危険が迫った時は、どのようにしておけば助かるのか、様々な方向から考えてみることが重要です。 机上の空論なら『命を落とす』というところまで考えても問題ありません。 実際にそうならぬ為の訓練です! 作品から大切な学びが見つかります。 それは「自分が決めること」ということです。 他人が決めるのではなく、他人から言われるのでもなく、他人が引いたラインに乗るのでもなく、聞こえの良い「他人と共に助かろう」と考えるのでもなく『自分が責任と覚悟を持ち決断決意した結果どうなるのか』ということです。 自分や自分の大切な人の命を奪いに来る 災害インに対して、目先・小手先の行動・言動ではなく、日常生活の中で普段から何かを考えているのかということが問われます。 これは日々怯えて暮らすことではありません。 毎日のルーティンに存在させておくということです。 いわば「やらないと気持ちが悪い」と感じるほど、防災を日常生活に組み込み、自分の文化にすることです。 他人に笑われても良い、他人に何を言われても良い『自分事』と考え、他人に迷惑をかけないのなら何だってやれば良いのです。 『あの時!あれをやっておけば良かったなぁ』と悔やむことなく、自分で決めておくことが重要です。 ただし、自分のことを本気で考えてくれる人の言葉は真摯に聞く心は持ちましょう。 自分が見えていないモノを見てくれている。 そんな自分の大切な人には耳も目も心も傾け、その上で『決断し決意する』。 作中の『鍵を閉じる・扉を閉める』ということです。 また、その逆も自分が責任を持って決めることが本当に大切なこととなるのです。 作品からは防災活動に置き換えることのできることが多くありました。 『教訓の伝承』『新たな災害への備え』『人との繋がり』『人との絆』『守るべきものの定義による心の変化』『命がけで人を救うのではなく共に助かる努力』等々、多くの学びに感謝します。 作中で表現される『人との出会い』には、驚きと納得が合わさり強く心を打たれました。 加古川グリーンシティ防災会25年間の防災活動に自信を持つことができただけではなく、これから進む先への強い追い風をも感じたのです。 「声掛けから始まる防災活動」そして大切なモノ・大切な人・定義の重要性・継続できる活動等々、これからも『楽しく防災活動をやろう!』は不変の定義だと確信しました。 今年の防災だよりで取り上げた『すずめの戸締まり』『天気の子』『君の名は。』に共通する大切なことは、「世界の何処に居ても必ず会いに行く」という防災三部作すべてに共通する言葉でした。 でも「何処に居ても」といっても居場所が判れば必ず会えると簡単にいえるものではないことは、過去の災害直後の教訓から確認できます。 同じ避難所に居るのに会えないことすらあったのです。 このことは常世に迷い込んだ子どもの頃のすずめと同じではないでしょうか? 子どもなら「お母さん知りませんか?」。 お母さんも助かっていたら「娘を知りませんか?」と必死になって探すに違いありません。 しかし大きな避難所では実際に巡り会えないことも過去の教訓の中にある事実です。 なので家族や自分の大切な人と少しでも早く出会う為の決め事をしておきましょう。 避難所となる小学校なら『体育館の東南角』とかという具体的な場所を決めておくことです。 もしそこから離れる場合は、この場所に石か何かで地面や壁に書くことも決めておくことです。 避難所は大勢の避難場所であり簡単に出会える場ではないことを心に留め置きましょう。 作中に表現される「すずめのおかあさん知りませんか?」と、かじかんだ小さな手をお腹の前できちんと組み精一杯に姿勢を正し強い口調で「おかあさんもすずめを探してて、きっとすごく心配してるから、早くおかあさんのところに行かなきゃいけないんです!」 このような事が実際にあった事を我々は忘れてはいけません。 その時、私たちにできることは『どうしたの?』と声を掛けて一緒に探してあげることです。 声掛けはトテモ大切なことであり『寄り添う防災』ではないでしょうか。 防災会設立26年目、次なる防災活動にステップアップ!来年も防災活動にご理解・ご協力をよろしくお願いします。 |